数字で見る日本のライブコマース 2026
経済産業省のEC市場調査、国内のライブコマース調査、そして米国と東南アジアの公開データを並べて、日本でライブコマースが伸び切らない理由が転換率ではなく到達と時間あたりコストにあることを整理します。
日本のライブコマースについて語られる数字は、出どころがはっきりしないものが多く あります。ここでは出典をたどれる公開データだけを並べ、そこから何が言えるのかを 整理します。
まず土台となるEC市場の数字
経済産業省が2025年8月26日に公表した 令和6年度 電子商取引に関する市場調査 によると、BtoCの物販系分野は次の通りです。
| 区分 | 市場規模 | EC化率 |
|---|---|---|
| 物販系分野 全体 | 15兆2194億円(前年比 +3.70%) | 9.78%(+0.40pt) |
| 食品・飲料・酒類 | 3兆1163億円(+6.36%) | 4.52% |
| 衣類・服装雑貨等 | 2兆7980億円(+4.74%) | 23.38% |
| 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等 | 2兆7443億円(+2.26%) | 43.03% |
全体のEC化率が9.78%という水準は、それ自体が重要です。日本の物販はまだ9割が オフラインで動いています。ライブコマースは「ECの中の新しい売り方」である前に、 「まだECになっていない9割」に向けた売り方でもある、という読み方ができます。
カテゴリ別のばらつきも見逃せません。家電のEC化率43.03%に対して、食品は4.52%。 同じ「ライブコマースをやる」でも、扱う商材によって前提がまるで違います。
国内のライブコマース調査は数字がばらつく
日本のライブコマース利用率については、調査ごとに数字が大きく異なります。この ばらつき自体が現状を表しています。認知度を尋ねた調査では「知らない」という回答 が7割前後になる一方、視聴経験者に限れば購入率は高く出ます。ライブ配信ツール HandsUP(17LIVE)の調査では、視聴経験者のうち54.8%が購入経験ありと回答して います。
ここで注意したいのは、後者がプラットフォーム事業者による、しかも「見たことが ある人」を母数にした調査だという点です。見た人の半分が買う、という数字は、 見ていない人が大多数であることと矛盾しません。
つまり日本のボトルネックは、見た人が買わないことではありません。そもそも見られ ていないことです。
海外の数字を並べると、日本の位置がはっきりする
ARK Investの推計では、ライブコマースは中国のEC市場の約60%を占める一方、米国では 約5%です。
その米国でも、EC分析企業Charm.ioのデータ(Modern Retailが報道) では、TikTok Shopの総売上に占めるライブ配信の比率は2024年7月の26%から2025年7月 には18%に低下しました。売上の主役は録画済みのクリエイター動画に移り、全体の 約3分の2を占めています。
一方、東南アジアは伸びています。Momentum Worksの調査(Digital in Asiaによる まとめ)では、 TikTok Shopの東南アジアGMVは2025年に456億ドル、2022年の44億ドルから約10倍に なりました。ただし平均注文単価は4.5〜6ドルで、Shopeeの13〜15ドルより大幅に低い 水準です。
三者を並べると、ライブコマースの普及率を決めているのは手法そのものの優劣では ないことが分かります。決めているのは、プラットフォームの設計と、買い物の習慣 と、そして配信1時間あたりのコストです。
日本で伸び切らない理由は、時間あたりの原価にある
有人配信の原価は、演者、スタジオ、スタッフ、そしてスケジュールです。この固定費 を回収できるだけの視聴者が見込める時間帯にしか配信できません。結果として、多く の企業が週1回、夕方から夜の1時間だけ配信する形に落ち着きます。
その運用では、先ほどの「そもそも見られていない」問題が構造的に解けません。週1 時間では、たまたまその時間に見た人にしか届かないからです。
数字で言えばこうなります。米国の事例では、スキンケアブランドgoPureがTikTok LIVEを483時間配信して売上100万ドル、インプレッション6400万回を記録しました。 1時間あたり約2070ドルです。この種の数字は、配信時間を積める体制があって初めて 成立します。
時間あたりの原価が下がると、設計が変わる
Genpioは従量課金なので、判断の単位が「この時間帯に演者を立てる予算があるか」 から「この時間帯は原価を上回る売上を返すか」に変わります。配信は夜通し動き、 TikTok、Shopee、YouTubeなど19以上のプラットフォームに同時配信し、コメントには 85言語以上で1秒以内に応答します。音声もアバターも、自社で学習させ自社で配信し ているモデルです。
これで転換率が上がるわけではありません。変わるのは、これまで人件費に見合わず 試せなかった時間帯と言語を、実際に試して測れるようになることです。
他社の数字ではなく自社の数字が欲しい場合は、有料の1時間トライアルが最短です。 実際の商品データを入れて、実際に1時間配信し、結果を見る。それだけです。
出典
- 経済産業省、令和6年度 電子商取引に関する市場調査(2025年8月26日公表)
- HandsUP(17LIVE)、ライブコマース利用動向レポート
- Charm.ioのデータ、Modern Retailによる報道
- Momentum Works、Digital in Asiaによるまとめ
- EMARKETER、ライブコマース統計とFAQ